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Very late diagnosis of Asperger Syndrome』の著者である
フィリップ・ワイリーは、様々な経歴を経た後に
51歳でアスペルガー症候群の診断を受けている。

成人向けアスペルガー本はすでに数々出版されているけれども、
この本は壮年期以降の当事者を対象としていて、
大変ながらもある程度何とか人生を切り抜けてきた人に特有な、
人生の遅い時期に診断を受けた場合に示す反応や心理面について
重点的に論じている。

中でも興味深いのは、診断前後の心理的な過程を
アイデンティティの観点から考察して、
死と臨終を受容する過程についてのエリザベス・キューブラー・ロスの
五段階モデル(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)を応用していることだ。

また、診断を受け入れるプロセスにはセルフ・アイデンティフィケーションと
アイデンティティ・アラインメントがあると述べている。

セルフ・アイデンティフィケーションとは、
自分にアスペルガー症候群があることを知ること。
つまり、きっかけは何であれ、これまで普通だと思っていた自分に
実はアスペルガー症候群という生まれつきの脳の問題があることを知り、
自分の中のアスペルガー的な要素を自己認識する。
それによって、自分は普通だというそれまでのアイデンティティが崩れ去り、
アスペルガー症候群のある自分という新しいアイデンティティを受け入れる
プロセスが始まる。

アイデンティティ・アラインメントとは、新たなアイデンティティを受け入れ、
アイデンティティを本当の自分と一致させること。
つまり、アスペルガー症候群があるという事実に即した
アイデンティティをもつこと。
要は、生まれつきの脳の問題がある自分を受け入れることだ。

年齢が高くなるほど、「障害」というものに対して否定的なイメージを
もっている場合が少なくない。
そうした人は障害者に対する自らの偏見の犠牲になっていると
この本では言っている。
障害があることは恥ずべきことだと思っていれば、
自分がアスペルガーだと認めるのは難しくなる。

しかも、それまで長年、何とか自力で人生を切り抜けてきたのだから、
社会スキルもそこそこには習得している可能性もあるわけで、
それを今さら脳に問題がある、と言われても受け入れるのは
簡単ではないだろう。

思うに、それまで自分自身の社会スキルのなさを自覚していて
劣等感を抱き、自分を責め続けてきた人の方が
すんなりと受け入れられるのではないだろうか。

逆に、自分の人生が上手くいかないことを
他人や周りの環境にし、自分に非はないと思ってきた人ほど、
自分に問題があることを認めたがらないような気がする。

そう考えると、自分に発達障害があるということを認めたがらないのは、
「障害」という言葉がつくからということでは
必ずしもないのかもしれない。
「凸凹症候群」と言い換えたところで、そうした人は
「凸凹があるのは人間当たり前だ」と言い張って
自分の問題は認めたがらないだろう。

また、「障害」ということを受け入れても、
自分の問題を認識せずに、いま流行りのアスペルガーという
アイデンティティをさっさと受け入れて、
私には障害があるから、と免罪符にして
ただ周りに理解ばかり求めるようになるケースもあるだろうと思う。


(続く)


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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』
の日本語訳は拙訳でよければ全文があります。
読みたい方はこちらからダウンロードしてください。





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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』では、
キューブラー・ロス・モデルを応用して
アスペルガー症候群のある自分という
新たなアイデンティティを受け入れる過程を説明している。

以下、この本の該当箇所の拙訳:
エリザベス・キューブラー・ロスは
五段階の心理学モデルを構築し、
死と臨終を受容する過程における変化に対する
人びとの反応について説明しました。
キューブラー・ロスは愛する人の死後の
悲しみの段階に焦点を合わせていますが、
内面の変化やアイデンティティの危機を
くぐり抜けている最中の場合にも当てはめることができます。
変化によって新しいものを得る前に、
何らかの形で喪失が起こることは避けられません。
新しいアイデンティティに気づいたとき、
元のアイデンティティ(つまりは自己イメージ)
は死ぬため、悲しみの期間が訪れます。
その後で、自分が自閉症スペクトラムに入るという
事実を含んだ新たなアイデンティティを築き始めるのです。

キューブラー・ロス・モデルの五段階は、
否認・怒り・取引・抑うつ・受容です。
ショックな、あるいは心に痛手を負うような知らせを受けたときには
こうした反応が防御メカニズムや対処法となるため、
この五段階は誰にでも当てはまると
エリザベス・キューブラー・ロスは考えています。
年齢の高い成人当事者の多くは、
自己診断に対してショックや驚きで反応し、
大きな精神的ダメージを受けることもあります。
特に、自分は多少変わってはいるけれども普通だと
何十年にもわたって思ってきた人にとってはなおさらです。


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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』
の日本語訳は拙訳でよければ全文があります。
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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』では、
引き続き、新たなアイデンティティを受け入れる過程の
各段階を説明している。

その第一段階が「否認」。
以下、該当箇所の拙訳:
「第一段階はショックと否認です。
その情報が受け入れるにはあまりにも苦痛なため、
ダチョウが砂の中に頭を突っ込むように、
それから自分自身を遠ざけます。
私たちの調査では、回答者の25パーセントが
自分の自閉症スペクトラム障害を否認したと認めています。

回答者の一人は、『遅れて診断を受けた場合、
自分は適応できていないと強く感じるので、
ある意味では怖すぎて信じられません』と言っています。
そのため、キューブラー・ロス・モデルの最初の段階は、
自分の状態に関する真実を受け入れることへの抵抗です。」


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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』
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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』で説明されている
第二段階は「怒り」。

以下、この本の該当箇所の拙訳:
「第二段階は怒りです。
そのため、多くの人たちに対して、
たとえば、嫌がらせを受けたことについて
家族や雇用主に怒りを感じたり、
単に自分が自閉症スペクトラム障害であることに
怒りを感じたりするのはよくあることです。
ジェン・バーチは、少しのあいだ怒りを感じたことを
次のように認めています。

『少し後になって忍び寄ってきたのは、
自分の自閉症スペクトラム障害を理解したときには
43という歳になっていたことや、
本当の問題が何なのかを偶然発見する以前に
心理的な辱めを受けたりしたことに対する怒りでした。』」

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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』
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引き続き、『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』では、
第三段階である「取引」を次のように説明している。

以下、拙訳:
「取引は回避の別の方法で、
たとえば『何か特定のことをすると誓ったら、
私に起こっている変化を避けられるだろうか?』
というように機能します。

人生の遅くに診断を受けた自閉症スペクトラム障害当事者は
自閉症的傾向のある自分を認めるというパラダイムシフトに
抵抗することがありますが、たとえば、次のような取引を行います。
『今人生を終わりにしたら、起こっている変化を避けられるだろうか?』

人生における変容を回避できる方法としては、
自殺か薬物か宗教しかないでしょう。」


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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』
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さらに、『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』では、
第四段階を「抑うつ」としている。

以下、拙訳:
「抑うつは正常な反応で、古い自己アイデンティティの喪失と
その変化が将来にどのような影響を及ぼすかについての
不安に対して生じます。

自閉症スペクトラム障害の確定診断を受けた後、
抑うつ状態の日々が続きますが、
自己理解のプロセスの大きな影響は
ポジティブなものであるはずです』とマイケル・ジョン・カーリーは
言っています。

マイケルは診断を受けた後、
自分が気まぐれな行動を取るのは性格のせいではなく、
脳の配線のせいなのだと理解しました。
定型発達者のふりをし続けるのではなく、
そのように役立つセルフ・アイデンティフィケーションを行うことで、
インターネットやそれ以外のさまざまな情報源にアクセスし、
自分に自閉症スペクトラム障害があることを確認できたのです。
マイケルの言うように、『普通を装い続けると、
自信がなくなることがよくあります』。
マイケルは正式な診断の後、肩から荷が下りたときに、
期待していた安堵感が突然消えました。
彼は、ネガティブな考えが次々と湧き上がってくるのを
味わいながら歩道に突っ立っていたことを覚えていて、
その悲しみの瞬間について著書にこう記しています。

『診断を受けた瞬間、
私が期待していて感じ始めていた幸福感は、
目まぐるしい否定的な思いのハリケーンへと
素早く変化していきました。
次のように思ってとてつもなく悲しくなったのです。
「そうだ、お前は一生ひとりぼっちなんだ!
お前はほかの人たちとは同じカテゴリーには属していないんだ!
体験を分かち合う感覚なんて味わえないんだ…誰とも!」』

しかし、マイケルはそれまでずっと
自分には価値があると強く感じていたため、
その暗い場所に長くとどまることはありませんでした。
彼の経験は多くの人よりはるかにスムーズにいきました。
通常は、診断後の抑うつは2ヵ月から6ヵ月続きます。」


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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』
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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』では、
最後の第五段階、「受容」が次のように説明されている。

以下、拙訳:
自閉症当事者が最終的に自分自身を受け入れるとき、
受容がアイデンティティの危機の終わりの印となります。
このプロセスの一環として、内面にある否定的な信念を取り除き、
自分が活用できる明らかな「天賦の才」を大切にし、
自分のアイデンティティの真実に長い間逆らってきたことについて
自分自身を許すことが必要になります。
もちろん、何十年にもわたって自分が受けてきた
ひどい扱いについて、多くの人や組織を許すことも必要となるでしょう。」


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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』
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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』では、
この五段階モデルとは別に、四段階モデルとして、
キューブラー・ロス・モデルを変形したものを
紹介している。

各段階は次の通り。

1. ショックと否定
別の自己イメージについての考えを即座に拒絶するとき。

2. 怒りと抑うつ
無力さや絶望感を感じさせるような、
コントロールできない変化や不安定さに対してよく見られる反応。

3. 探求と洞察
変化が避けられないと理解した後、
自分が選ぶことのできるあらゆる選択肢を見つめ、
新しい自己アイデンティティとともに
前に進む適切な方法を見極めることができるとき。

4. 変化と新たな環境を受け入れる決意
第一段階から第三段階までを経験した後、
新たな自己を抱きしめて、
人生をより良くするために積極的な策を講じることができる。

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『Very late diagnosis of Asperger Syndrome』
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アスペルガー症候群(当時は自閉症スペクトラムという名称はなかった)
診断を受けたのは、もうひと昔前の話になるけれど、
その経緯を簡単に書いてみたいと思う。

アスペルガー症候群というものについて初めて知ったのは
新聞の記事だった。
花風社から本を出している藤家寛子さんを取り上げた記事で、
確か「周囲に違和感」というような小見出しがついていた。
その他にも男性当事者が紹介されていて、
その記事の内容を読んだとたん、
私は絶対にこれに違いない!という強い確信をもった。

当時33歳になっていたので、それなりには何とか社会で生きていた。
一応、友人らしき人もいたし、大変ではあっても、
傍目には問題があるようには見えなかっただろう。
それでも、なぜか私は仲間意識というものがもてず、
どこかに属するということができなかった。
思いっきりマニアックな趣味の分野であっても、
仲良くすることを求められても、
なぜかいつもある程度の距離を置きたがった。

その頃、心を浄化するための瞑想法をやっていたこともあって、
それはすべて、自分の心が汚いせいなのだと思っていた。
心が汚いから他人が受け入れられないのだ、
だからもっと心を浄化しなくては、と。

それでその記事を読んだとき、
ガラガラっとすべてがひっくり返るような感覚があって、
いてもたってもいられず、
新聞に載っていた自閉症協会の連絡先にさっそく連絡してみた。

新聞の記事を読んで、自分はアスペルガー症候群ではないかと
思うのだけれど、どこで診断を受けられるのかと訊いたところ、
成人を診てくれる医師はほとんどいないだろうということで、
近くのM市のMクリニックを紹介してくれた。
小児専門の精神科医だけれど、きっと診てくれるだろうとのことだった。

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人生の遅くになってからアスペルガー症候群の問題に気づいた
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(続く)
それで予約を入れて、ドキドキしながらクリニックを訪れた。

おそらく50代の女医さんで、アスペルガー症候群かどうか検査を受けたい
と言ったところ、
「あら~、あなた、全然普通じゃな~い。
アスペルガーって見たことあるの?みんなもっと変よ~。」
と言われた。

あれこれ説明しても全然わかってもらえず、
「人と交わるのが苦手なら、ここで子どもたちを集めて
たまに催し物をやっているから、それに参加してみない?」
と言われた。そういうこととは違うのだけれど。

しまいには、
「あのねぇ~、世の中には地球のリズムに合う人と合わない人がいるの。」
と目が点になるようなことを言われた。
あら、ここ、精神科だよね?
私、間違えてスピリチュアルヒーラーのところにでも来ちゃったかしら?
と一瞬思った。
嘘みたいだけれど、本当の話。

それでもがんばって、これまでの生きづらさが
自分の努力不足によるものなのか、生まれつきの脳の問題によるものなのか
知りたいだけだからとにかく検査をしてほしい、の一点張りで
何とか検査をしてもらった。

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(続く)
プロフィール

Chandni

Author:Chandni
十数年前に確定診断を受けたアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害)当事者です。当事者として、これまでの道のり、工夫していること、日々感じていること、取り組んでいること、その他いろいろ書いています。アスペルガー特有の変わった考え方や生き方の一例として、多少なりとも参考になれば、と思います。

長いこと変わった民族楽器に取り組んでいます。職業はフリーランスの医薬系実務翻訳者。現在、メディカルハーブとタロットを本格的に学んでいます。

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